2026年8月1日、OpenAIは自社サイトで、公開前の次期主力モデル「Astra」が数学および理論計算機科学分野で10年以上未解決だった問題を10件解決したと発表しました。対象は高次元幾何学、符号理論、群論、量子計算複雑性、格子暗号、極値組合せ論など多岐にわたります。中でも1999年にグロモフが提起して以来未解決だった「非ソフィック群」の存在証明は、専門家の間でも大きな反響を呼んでいます。
OpenAIは公式ブログで、Astraが生成した10件の証明をLean 4形式言語で形式検証し、GitHub上にApache 2.0ライセンスで公開したと明らかにしました。証明中の未証明箇所を示す「sorry」の数はゼロで、全ステップが機械的に検証済みだということです。あわせて249ページに及ぶ論文形式のマニュスクリプトも公開されました。
高次元幾何学、符号理論、群論、量子計算複雑性、格子暗号、極値組合せ論の6分野にまたがる10問。いずれも研究者コミュニティで10年以上未解決とされてきたテーマです。
公式サイトによると、10件すべての証明生成にかかったトークンコストは、モデル「Sol」のAPI料金換算で約2,000ドルにとどまるとのことです。研究者がモデルと協働し、生成された論証を論文形式に整理しました。
英マンチェスター大学の数学者トーマス・ブルーム氏は今回の成果を「大きなニュース」と評価する一方、モデルは1世紀以上に及ぶ数学理論の蓄積を土台にしていると指摘し、数学者の代替ではないと強調しました。また、OpenAIの研究者ノーム・ブラウン氏は、他の主要な未解決問題への挑戦では失敗した例もあり、今回の10件にそれほど多くのコストを投じたわけではないと述べ、成果を過大評価しないよう注意を促しています。なお、10件の証明はいずれもまだ査読を経ていません。
これまでAIモデルの数学的推論力はベンチマークスコアで語られることが多かったですが、今回は査読前とはいえ実際の未解決問題に対する新規の証明という点で一線を画します。コーディングやリサーチ業務でAIを活用する実務者にとっては、複雑な論理構築や形式検証を伴うタスクへのAI適用可能性を示す事例として注目されます。日本国内でもAIによる研究支援・コード検証ツールの検討が進む中、形式手法とLLMを組み合わせるアプローチが今後の実務導入のヒントになりそうです。
「Astra」自体はまだ一般公開されていませんが、今回の発表はOpenAIの次期主力モデルの実力を示す一つの指標となりました。生成AIを研究・開発・業務に活用するユーザーは、今後のAstra正式リリースやベンチマーク結果にも注目したいところです。AIナビのAIサービス一覧・ランキングもあわせてご覧ください。
参照: OpenAI’s Astra Solved Decades-Old Math Problems For $2,000 - Forbes
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
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